とても嬉しいことがありましたよ

褒められるのは
近くの人より
遠い人の方が嬉しい

◆学習発表会

 小学校の学習発表会は一大イベント。1年間の学習の成果を披露する場ではあるが、体育館のステージ上でただ「かけ算九九」を唱えたり、覚えたことわざを発表したりするだけではつまらないもの。学習した成果を発表する場ですが、聴衆を楽しませる、感情を揺さぶるエンターテイメント性を取り入れることが大事。自分は学習発表会と言うよりは学芸会的なイメージで毎年取り組んでいました。

◆がんばろう東北

 14年前の2011年。3月東日本大震災。4月に持ち上がりの6年生の担任として「夢追い人たち~がんばろう東北~」というタイトルで発表しました。6年生は日本史の学習を基に歴史劇を取り入れることが一般的。プロローグとして、フランシスコとザビエルに分した2人の子どもが登場し、片言の日本語で「…コノニホンハ トテモスゴイ クニ…」「…オオキナユメヲモッテ ソノユメニムカッテ ガンバル クニ…」「シーユーアゲイン」「グッバイ」…と、まずつかみの笑いをいただく。その後、聖徳太子や信長、秀吉などが登場しドタバタ劇。合間に龍馬が登場し、「日本の夜明けは近いぜよ」と遠くを指さし叫ぶ、その都度家来が「坂本様、まだ夜の9時でございます。夜明けはまだまだです」とたしなめるのを3回繰り返す。これはあまりウケなかった。最後に再びフランシスコとザビエルが登場し、「ニホンハ クナンニアウタビニ ツヨクタチアガッテキタ」「ガイコクニマケナイ ツヨクタクマシイニホンヲ ツクリアゲテキタ」とドタバタ劇を締めくくり、全員がステージ上に整列し、大震災からの復興について一人一人が呼びかけ風に訴え、最後に「一人一人の夢の実現に向けて!」「がんばろう日本!」「がんばろう東北!」と全員が大きな声で呼びかけ、クライマックスになったところで6年生からの応援歌「夢追い人」の合唱。

◆他校の校歌

 実はこの「夢追い人」の原曲は、愛知県の至学館高校の校歌「夢追人」。「一番高い所に登って 一番光る星を掴んだ 一番辛い道を選んで 一番強い心をまとった 海を渡る風が吹いた カシオペアが近くに見えた 夢を追い続けた そしてここまで来た でもどうしてかな 熱い涙が止まらない うつむきかけた時 君の顔が見えた 差し出された白い腕が 翼に見えた」2011年の愛知県予選決勝、夏の甲子園初出場を決めた至学館高校がグラウンドとスタンドが一体となって勝利の校歌を涙で熱唱している姿を映しだし、実況アナが校歌に合わせて「夢を追い続けた そしてここまで来た 熱い涙が止まらない」と実況した場面に感動して、自分も一緒に涙しながら今年の学習発表会の締めの歌にすることに決定。

◆勝手に使っちゃった

 もちろん原曲ではなく6年生による1番から3番までの作詞バージョン。ちなみに3番は「一番高い所に登って 一番光る星を掴んだ 一番辛い道を選んで 一番津より心をまとった(ここまでは同じ) 支え合って 励まし合って 助け合って 生きているのさ 夢を追い続ける もっと遠くへ行く でもどうしてかな いつもみんなにいてほしい ひとりひとりみんな 大きな夢持っている 追い続ける 後ろ姿 まぶしく見えた」…こんな感じです。バックのスクリーンには6年生一人一人の夢のスライドショー。自分の学校の学習発表会で歌詞を変えていたとしても他の学校の校歌を使う。今思うととんでもないことです。

◆嬉しい出来事

 前置きがとても長くなりました。先日宴会にて、14年前のこの発表を観客席で見ていた当時5年生の女の子に会うことができました。女の子は立派な小学校の先生になっていました。現在6年生の担任をしているというその先生は、私に向かってこう言ったのです。「先生の学年の『夢追い人』にとても感動しました。私もあんな発表をいつかできたらと思っています」と。14年前ですよ。感激とありがたさ、この感謝の思いをどう伝えようかとしばし考え、着用していたその宴会のTシャツを洗濯もせずに進呈していました。この判断が正しかったのかは分かりませんが、それほど嬉しい出来事でした。

(人生の一滴)

誰かが見ていて
誰かに伝わっている
そんな仕事をしたい